こんにちは!悠です!
今回は「chilled_re-generic_v2」という、ChilloutMixと非常によく似たAIイラストを生成できるモデルデータの作り方と、使ってみて気づいた特徴についてまとめていきます。

本家ChilloutMixで満足している方も、ぜひ一度は違いについて試してみてほしいモデルデータです!
「chilled_re-generic_v2」とは?
本家「ChilloutMix」は、利用規約として一切の商用利用が禁じられています。
そこで有識者の方々が商用利用可能なモデル(※1)をマージさせて、ChilloutMIxに非常によく似たAIイラストを生成できるモデルデータを作成しました。それが「chilled_re-generic_v2」です。
以下レシピ考案者様のツイートです。
前回、Chilloutmixのジェネリックレシピを公開しましたが、テスト時の単純プロンプトでは高一致率も、複雑なプロンプトでは一致率90%以下だった為、構成を見直しました。chilled_re-generic_v2では複雑なプロンプトでも自称再現率93%です。#Chilloutmix #AIphoto #Chilled_re_generic https://t.co/TZSDrmQEsu pic.twitter.com/PCwxium1IM
— 鎖城郎郭@AI錬成画師 (@sazyou_roukaku) March 3, 2023
※1:商用利用可能なモデルと表現しましたが、マージ素材のモデルの1つ「Lofi」の規約を見ると、下記のように「有償イラスト生成サービスでの使用」や「モデル自体の販売」は禁止されています。
また、LoRAを使用してイラストを作成する場合、そのLoRAにも規約があるため決して何でもありというわけではないと思います。
「chilled_re-generic_v2で生成した」と表記するのも絶対に忘れないでくださいね!
現在多くの方が「chilled_re-generic_v2」で生成したAIイラストを販売されているため、おそらく規約を遵守する限り問題はないと思いますが、このブログではあくまで「自分で楽しむ」、「SNSに投稿する」、「ブログやYouTubeで使う」といったような使い方を推奨しています。
マージ素材のモデルの1つ「BasilMix」の商用利用が禁止されました。
そのため現在は「chilled_re-generic_v2」の商用利用は不可です。

【参考記事】

「chilled_re-generic_v2」の作り方
「chilled_re-generic_v2」考案者の方がTwitter上にレシピを公開してくださっているので、それを参考にして作業をしていきます。
Q3:I don’t know the percentage/同じ割合で作っても異なる
A3:
Automatic1111 merge M:0=A M:1=Bmerge1.lofi_V1Fp16:colorful_v13=50%:50%=M:0.5
merge2.Basil_mix_fixed:merge1=70%:30%=M:0.3
merge3.museV1_v1:merge2=60%:40%=M:0.4
M:0.5→M:0.3→M:0.4=perfect!比率表記ではなくM:表記です。
— 鎖城郎郭@AI錬成画師 (@sazyou_roukaku) March 11, 2023
まずマージ素材として使用するモデルを準備していきます。各モデルはバージョンも指定されているので注意してください。(新しいバージョンを使用すると生成結果が悪くなることもあります)
(モデル1)lofi_V1Fp16 → Civitaiでlofiと検索
(モデル2)colorful_v1.3 → Civitaiでcolorfulと検索
(モデル3)Basil_mix_fixed
(モデル4)museV1_v1 → Civitaiでmuseと検索
(VAE)vae-ft-mse-840000
すべてダウンロードしたらマージ作業を行っていきます。
「chilled_re-generic_v2」は3回のマージ工程を経て完成する複合モデルデータです。
なお、マージ作業はローカル環境で行うことをおすすめします。GTX1660Ti(VRAM6GB)でも20秒程度でマージ工程が完了するため、GPUスペックは必要ありません。
Google Colaboratoryでマージする場合、すべての素材データをGoogle Driveにアップロードする必要があるため、無料版の15GBストレージではかなり厳しいです。
一応1回マージが完了するたびに素材を削除していくことで対応できるため、面倒ですが無料版でも不可能ではありません。
ローカル版でマージする方法
「Stable Diffusion WebUI」をローカル環境で使う方法に関しては、下の記事を参考にしてください。

1回目のマージ
ダウンロードしたすべてのモデルデータを「\webui\models\Stable-diffusion」に保存しましょう。
VAEに関しては「\webui\models\VAE」に保存します。
「Stable Diffusion WebUI」を起動し、「Checkpoint Merger」のタブを開きます。
その後下記のように設定した後、オレンジ色のMergeをクリックしましょう。
- Primary Model(A): lofi_V1Fp16
- Primary Model(B): colorful_v13
- Custom name: merge1
- Multiplier(M): 0.5
- Checkpoint format: safetensors
2回目のマージ
1回目のマージで生成された「merge1」を使用します。
下記のように設定した後、オレンジ色のMergeをクリックしましょう。
- Primary Model(A): Basil_mix_fixed
- Primary Model(B): merge1
- Custom name: merge2
- Multiplier(M): 0.3
- Checkpoint format: safetensors
作成時の注意点としてよく挙げられている点がMultiplier(M)です。ここにはモデルBの配分(今回はmerge1を30%なので0.3)を指定します。
3回目のマージ
2回目のマージで生成された「merge2」を使用します。
下記のように設定した後、オレンジ色のMergeをクリックしましょう。
- Primary Model(A): museV1_v1
- Primary Model(B): merge2
- Custom name: chilled_re-generic_v2
- Multiplier(M): 0.4
- Checkpoint format: safetensors
- Bake in VAE: vae-ft-mse-840000
Bake in VAEの欄にVAEを設定せずにマージしてしまうと、色あせたような画像が生成されてしまいます。
その場合は別途、WebUIのSettingsの方でVAEを設定すればOKです。
これで「chilled_re-generic_v2」の完成です。お疲れ様でした。
Google Colaboratory版でマージする方法
Google Colaboratoryを使ってマージする場合、下の記事で紹介しているAUTOMATIC1111「maintained by Akaibu」というノートブックを使用します。

ではまず、Google Drive内に素材となるモデルデータを全てアップロードしましょう。
次にノートブックを開き、Google Driveのモデルデータを読み込む欄に「chilled_re-generic_v2」の素材のパスを4つとも書き込みます。

画像では2つですが、4つ全てのパスを書き込みましょう
後はローカル版と同じ手順で実行していくだけです。作成したmerge1、merge2、chilled_re-generic_v2はdrive内ではなくcolab内に保存されるため、パスを追加で書き込むことなく連続でマージすることができます。
ただ最後に生成した「chilled_re-generic_v2」をPCにダウンロードする時、おそらくかなりの時間を要すると思います。
以前Colabから144MB程度のLoRAファイルをローカルに保存する場合、だいたい20分程度かかりました。
試していないのでわかりませんが、4GB近い「chilled_re-generic_v2」を保存するのにかかる時間は凄まじいことになるかも…
Colab内のファイルをDrive内にコピーする方法もあるので、こういったやり方を使う方がいいかもしれません。やり方については、需要がありそうなら後日追記していきます(まだ試していないので、実際に早くなるかどうかはわかりませんが…)。
ちなみに「sd-1click-colab」の方に「chilled_re-generic(前バージョン)」があったので、自分でマージするのが面倒な方はとりあえず試してみてもいいかもしれません。
「sd-1click-colab」の使い方に関しては下の記事で紹介しています。

「chilled_re-generic_v2」の特徴
「chilled_re-generic_v2」を使って複数回イラストを生成してみた感想ですが、ChilloutMixと比べて幼い顔(童顔)が生成しやすいという特徴がありました。
例えば下記のプロンプトで作った画像をご覧ください。
- Model: chilled_re-generic_v2
- LoRA: JapaneseDollLikeness
- embeddings: EasyNegative, bad-hands-5
- Clip skip: 2
- ENSD: 31337
- Steps: 20
- Sampler: DPM++ 2M Karras
- CFG scale: 7
masterpiece, best quality, ultra high res,(photo realistic:1.4),1girl, big blue eyes, blonde hair, upper body, cute, seductive smile, young, cute, pretty, posing, looking at viewer, lustrous skin, very long hair, (18 years old), (baby face), headphones, <lora:japaneseDollLikeness_v10:0.3>
EasyNegative, (worst quality:2), (low quality:2), (normal quality:2), lowers, normal quality, ((monochrome)), ((grayscale)), skin spots, acnes, skin blemishes, age spot, nsfw, ugly face, fat, missing fingers, extra fingers, extra arms, extra legs, watermark, text, error, blurry, jpeg artifacts, cropped, bad anatomy
年齢を指定するプロンプトを使っても、ChilloutMixではここまで童顔にならないことが多いんですよね。
ですのでChilloutMixをこれまで使っていた方も、ぜひ一度は「chilled_re-generic_v2」を試してみてほしいです!
後継モデル「Chilled Remix」の登場
鎖城郎郭氏によって、素材にBasil Mixを使用しない「chilled_re-generic_v2」の後継マージモデル「Chilled Remix」が考案されました。
こちらもChilloutMixに非常に近いクオリティの美少女を生成することができます。
下記のHugging Faceからダウンロードできます。

まとめ
以上が、ChilloutMIxと非常によく似たAIイラストを生成できるモデルデータ「chilled_re-generic_v2」の作り方でした。
ChilloutMixに酷似していますが、生成結果は意外と違う印象を受けましたので、ChilloutMixと合わせて使うことでまたAIイラストの表現の幅を広げることができそうですね!
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
コメント
civitaiでchilled_re-generic_v3とchilled_re-generic_v2が公開されているのですが、これらは上記の過程を経て作られたモデルということなのでしょうか?
コメントありがとうございます!
私も今調べてみたんですが、確かにcivitaiに該当のモデルが公開されてますね~。
まずv2に関しては、おそらくレシピ考案者様以外の方が公開してると思われます(説明もほとんどないし、アップロードしている方のアイコンも別人っぽい)。なので、レシピ通りに正確にマージ出来ているかどうかはわからないですね。
v3に関してはレシピ考案者様のツイート(リプ欄)を見つけました。
https://twitter.com/hases0110/status/1635476497388687360
これによるとv3はv2の正式な後継ではなく、別のユーザーがアレンジを加えたモデルだと思われます。なので、v2より優れているかは実際に使ってみないとわからないですね…